よく臨床では「失調がある」と簡単に言いますが、失調には種類がいくつもあるということを知っていましたか?今回、失調の種類とその特徴についてまとめていきたいと思います。

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失調はどのように分類されるか

皆さんがよく知っている失調というと、小脳性の失調の事を言っているのだと思います。

学校では、小脳に損傷を受けると失調症状が生じるということを私も習った記憶があります。

しかし、失調というのは、小脳性の失調のみをさしているのではありません。

失調は、障害される部位により以下のような分類がなされています。

①小脳性
②脊髄性
③前庭迷路性
④大脳性
⑤末梢性

 

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小脳性失調の特徴

小脳性失調の特徴は、学校でも習ってきているのでわかりやすいと思います。

小脳性失調の主な症状としては、以下のものがあります。

・協調運動障害
筋肉を動かすタイミングや、どこの筋肉を動かすのか、また筋肉を動かす力の程度はどうかといった3つの要素で我々はスムーズな運動が行えます。
しかし、小脳性失調では、このような3つの要素を協調して行うことができません。

これにより、測定障害、企図振戦、反復拮抗運動障害、時間測定障害、運動分解、協働収縮異常、失調性歩行、などが見られます。

ここで、ついでなので各症状の特徴もみていくことにします。



測定障害 ( dysmetria)
距離の測定が過不足に生じる事で、目的動作が正しく行えない。
(例) コップを持とうとしても距離が合わずに正しく持てない。また、持ったとしても正しく口に近づけられない。

共同運動不能・変換運動障害 ( adiadochokinesia)
筋の相互の動きが時間的に協調することが困難になる。
(例) 手の回内・外を速くさせると、スピードや手の回し方がバラバラになる。

円滑性の障害・協働収縮不能 ( asynergia)
複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることが出来ない。
(例) 後ろへ反り返るように指示した時、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそうになる。

企図振戦 ( intention tremor)
安静時に出現せず、運動時に目標に近づくにつれ出現する。
(例) 何かを指で触れる時、物に近づくにつれて大きく揺れ、的確にそのものに触れることが出来ない、または上手 く触れられない。

時間測定異常 ( dyschronometria)
筋収縮が正常よりも遅延し、最大収縮までに時間を要する現象。
(例) 両手を挙上する時、一側性の小脳障害時において、障害側の上肢が挙上するのに時間を要す。

運動分解 ( decomposition of movement)
運動の分解が起こる。
(例) 示指で耳朶を真っ直ぐさすように命令すると、指先は三角形の2辺を通るようになる。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/4/0/4_0_15/_pdf

他にも、追視運動(動く対象物を目で追いかける)障害や、眼振(眼球が自分の意思とは関係なく規則的に繰り返す往復運動)が見られます。

また構音障害では、断綴性言語(個々の音節が途切れ途切れになる)、爆発性言語(発音が唐突に大きくなる)がみられます。

なお、後に出てくるロンベルク試験は陰性となります。

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脊髄性失調

脊髄性失調は、別名で感覚性失調とも呼ばれています。

脊髄後索は感覚の経路として重要ですが、その障害で感覚フィードバックが得られなくなると失調症状が生じます。

なお、前途したロンベルク兆候は陽性となります。

ロンベルグ試験の概要は、以下のようになります。

被験者に足をそろえ、目を閉じて直立するように言う。実施者は被験者の近くに立ち、被験者が倒れて怪我をしないように注意する。被験者の動きを周囲の垂直な物(部屋の柱やドア、窓など)と比較して観察する。体の揺れがあれば、陽性と記載する(時として不規則に揺れたり、転倒したりすることもあるので注意する)。基本的な特徴は、被験者が開眼しているときよりも不安定になるということである。

試験の基本的要領は次の通り。
1.被験者は手を体の側面に添え、開眼して足をそろえて立つ。
2.被験者が目を閉じ、そのまま実施者は一分間観察する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A9%A6%E9%A8%93

 

ロンベルグ試験の2番目の閉眼課題では、視覚からの情報がない場合に、位置覚が正常であれば姿勢を保つことができます。
位置覚が障害されていると、姿勢の崩れが見られます。
これが、感覚性の失調の特徴になります。

脊髄後索は深部感覚に関与している場所であり、温痛覚の障害はみられません。

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前庭迷路性失調

前提迷路性失調の特徴としては、立ち上がりや歩行時のバランス障害が目立ちます。

体幹の運動失調はありますが腕や足の運動失調はありません。

私たちがよく聞く疾患としては、メニエール病があり、前庭迷路性失調が見られます。

 

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小脳の障害に伴う運動失調と似た症状は、内耳の一部である前庭の障害、深部覚の障害などでも認められます。

前庭系は頭部の加速度を三次元的に感知します。

障害されると急性期には強いめまいと、吐き気等を伴い、開眼した状態では回転するようなめまいに襲われます。

臥床して閉眼するとこれらの症状は軽くなります。

その典型はメニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位眩暈症の急性期で認められます。

https://www.neurology-jp.org/public/disease/ataxia_detail.html

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大脳性失調

大脳性運動失調では、前頭葉の損傷が原因で起こることが多いとされています。

この場合、損傷を受けたところと反対側に、小脳性失調に似た症状が出現します。

私は前頭葉損傷の方で失調症状を呈した方を担当したことはありませんが、知識として知っておくことは重要です。

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末梢性失調

末梢性失調は、末梢神経障害を主とする疾患でみられます。

糖尿病の神経障害においても末梢性失調がみられることがあります。

感覚性の要素も強いため、閉眼で失調症は増強します。

末梢性の失調では、深部感覚の障害に加え、温痛覚の障害もみられます。

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