運動前野や補足運動野は、具体的な運動プログラミングの生成に関与しています。運動前野や補足運動野を調べていると、よく出てくるのが視覚誘導性運動、記憶誘導性運動という言葉です。今回、運動前野、補足運動野の働きと視覚誘導性運動、記憶誘導性運動についてまとめていきたいと思います。

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運動前野の役割

運動前野とは、

運動前野は前頭葉にある高次運動関連領野の一つである。

ブロードマン(Brodmann)の脳地図の6野の外側面を占め、一次運動野の前方、前頭前野の後方に位置する。

運動前野は脳幹や脊髄に直接投射をしており運動の実行に関与する。

さらに、感覚情報に基づく運動、運動の企画、運動の準備、他者の運動内容の理解(ミラーニューロン)等に関連して、主要な役割を果たす。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%89%8D%E9%87%8E

とあります。

ここで、感覚情報とありますが、感覚情報は頭頂葉で処理がなされています。

そのため、運動前野は頭頂葉の感覚情報をもとに運動をプログラムしています。

また、脳幹ともつながりがあると書かれていますが、小脳と関連して、誤差情報を利用しながら運動プログラムを修正する役割もあります。

私たちが運動を制御するときには、感覚情報のフィードバックを得ながらおこなうものと、記憶や予測情報から運動をシミュレーションし、必要な運動の選択と不必要な運動の抑制をおこなうものの2つに分けることができます。

これらのうち、感覚情報のフィードバックを用いるのが運動前野(小脳、頭頂葉とのつながり)で、

記憶や予測情報を用いるのが補足運動野(基底核、頭頂葉とのつながり)になります。

運動前野が障害されると、

・運動の準備状態の形成ができない
・抽象的な動作プランから具体的な運動プログラムに変換できない
・視覚情報から動作を誘導できない

ということが生じる可能性があります。

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補足運動野の役割

補足運動野とは、

補足運動野(supplementary motor area, SMA)とは大脳皮質前頭葉のうちBrodmann脳地図の6野内側部を占める皮質運動領野である。

〜中略〜

補足運動野は運動制御において一次運動野とは異なる固有の役割(例、自発的な運動の開始、異なる複数の運動を特定の順序に従って実行する、両手の協調動作など)を果たしていることが明らかにされている。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A3%9C%E8%B6%B3%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%87%8E

とあります。

補足運動野は、大脳基底核、頭頂葉との機能的な連結があります。

この機能的な連結により、補足運動野は頭頂葉の身体情報を用いて、大脳基底核に蓄えられている手続き記憶を用いての運動プログラムの形成に関わります。

前途しましたが、記憶や予測情報から運動をシミュレーションし、必要な運動の選択と不必要な運動の抑制をおこなうものが補足運動野になります。

補足運動野が障害されると、

・自発的な運動の開始ができない
*指示があれば運動を開始できる
・両手動作(特に左右で異なる動作)の協調性が低下する
・運動時の姿勢調節が不十分になる
・連続動作が不得意
・複数動作(粉末コーヒーの蓋を開けてコップにコーヒーの粉を入れ、湯を入れるなど)を適切な順序で実行できない

ということが生じる可能性があります。

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運動前野と補足運動野の脳画像にける同定

運動前野と補足運動野を同定するためには、「頭頂レベルのスライド」を見るとわかりやすいといえます。

まず、中心溝を見つけます。

これは、逆「Ω」(手指運動野)を見つけることで同定できます。

中心溝のすぐ上が一次運動野になります。

赤の線で囲った部分になります。

その上に、補足運動野があります。

補足運動野は、「補足運動野」と「前補足運動野」に分かれます。

前補足運動野とは、

前補足運動野とは大脳皮質前頭葉のうちBrodmannの脳地図6野内側部の前方を占める皮質運動領野である。

かつては補足運動野の一部と看做されていたが、その後の研究によって解剖・生理学的性質や機能の違いが明らかになり、現在では6野内側部後方を(狭義の)補足運動野、前方を前補足運動野として区別する。

前補足運動野は前頭前野と密接な線維連絡を持ち、補足運動野に比べて高次の運動制御に関わっている事が示唆されている。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E8%A3%9C%E8%B6%B3%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%87%8E

とあります。

前補足運動野は、

・運動の準備
・習慣化した行動の切り替え(海外の運転で右側走行になるなど)
・手続き学習
・複数動作(粉末コーヒーの蓋を開けてコップにコーヒーの粉を入れ、湯を入れるなど)の順序立て

に関与しています。

図を見ると、

青色の線で囲った部分が補足運動野、

水色の線で囲った部分が前補足運動野になります。

運動前野は、図を見ると、補足運動野と前補足運動野の隣で、外側に位置しています。

黄色の線で囲った部分になります。

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視覚誘導性運動と記憶誘導性運動

よく言われているのが、運動前野は視覚誘導性の運動に関与するということです。

また、補足運動野は記憶誘導性の運動に関与するということです。

では、視覚誘導性の運動とはどういうことでしょうか。

前途しましたが、私たちの運動は視覚誘導性の運動と記憶誘導性の運動の2つを組み合わせて行われています。

例えば、ズボンの上げ下ろしの際には、前側では視覚情報を元に動作を行いますが、視覚が届かない後ろ側では記憶誘導性運動(手続き記憶を引き出して運動をプログラムする)を用いてズボンの操作を行います。

他にも、記憶誘導性の運動では暗闇や、カバンの中での手の動きなど、視覚情報が不十分なところにおいても活動性が高まります。

「視覚誘導性の運動を利用する」という場合には、線、目印、自分の体の一部、対象物(道具など)という視覚情報を用いて運動を促していくということになります。

「記憶誘導性の運動を利用する」という場合には、ある実験がヒントになります。

補足運動野(記憶誘導型運動に関与)は、順序をあらかじめ教えておいて、記憶に基づいて順序通りに遂行する時にニューロンの活動性が高まったとされています。

このことから、動作前に指示をしておいて、動作直前に「どうするんでしたっけ?」「注意するポイントは?」などと質問することで適切な動作を誘導する方法もあると思います。

その場合、徐々に最適動作を促せるキュー(ヒント)を減らしていけるように段階付ける必要があります。

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