高次脳機能障害のリハビリテーションでは、各種の検査や日常生活上の観察、対象者の主観的な考え方(病識)などを踏まえて総合的に解釈する必要があります。今回、高次脳機能検査を行うにあたっての全体的な注意事項についてまとめていきたいと思います。

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検査前に把握しておきたいこと

検査前に把握しておきたいことがあります。
まずは、対象者に失語症があるかどうかです。
失語症があると検査方法の理解が十分でなかったりします。すると、検査結果自体に正確性がかけていることもあるため、検査前には失語症のレベルを把握しておく必要があります。

わからないことは言語聴覚士の方に聞くとよいでしょう。

失語症がある方には、検査の指示内容はゆっくりと、区切りながら説明していく必要があるかもしれません。
また、コミュニケーションにおいては筆談の必要をおこなうこともあります。
こちらが説明を行い、理解できているかは、対象者の表情をみることでも把握できます。
対象者の表情が曇りがちであれば、説明を理解していない可能性があるため注意が必要です。

対象者の視覚・聴覚的な能力の把握も重要です。
普段から新聞や字を書く際にメガネをかけている人は、もちろん検査においてもメガネをかける必要性があるでしょう。
また、難聴がある方では説明自体が聞こえにくく、検査方法を理解しにくいかもしれません。

 

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疲労を考慮する

対象者の方は基本的に疲れやすいです。
それは、体力的な疲れももちろんですが、思考することによる思考疲れという面からの疲労もあります。

例えば、検査が理学療法終了後に行われるとしたらどうでしょうか。
体をたくさん動かして疲れ切っている状態では、集中力はまず維持できないですし、検査自体を受ける意欲も低下するでしょう。
能力を把握するという点では疲労後におこなう意義もありますが、検査を行う際にはできるだけ疲労している状態では行わないほうがよいと考えます。

検査実施中に疲労の訴えがある場合はどうでしょうか。
その場合、ひとつの検査が終了すれば休憩をとってもらうことがベターでしょう。
先ほども言いましたが、疲労は検査意欲を著しく低下させてしまいます。

また、疲労状態に限らず覚醒、気分、睡眠状況も検査結果の解釈には考慮に入れたほうがよいと考えます。
これらの情報は、検査だけに限らず、日常場面においても影響を与える因子となりえますから注意が必要です。



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環境設定をおこなう

大原則ですが、もちろん検査は他の対象者の目につかない静かな集中力が維持しやすい環境で行います。
また、机上での検査用紙を用いるテストでは、紙を固定できるようにする必要があります。
片麻痺者では紙の固定が行えずに用紙が動いてしまうことがあるためです。

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検査はリハビリテーションでもある

検査は対象者の状態を知るために行われますが、同時にリハビリテーションでもあります。
それは、検査結果をフィードバックすることにより対象者に気づき(アウェアネス)を与えることができる可能性があるためです。
高次脳機能障害においては、対象者自らが自身の状態に気づいていくことが重要です。
そのため、検査結果に対するフィードバックの仕方が大切になります。

 

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例えば、検査結果のフィードバックでは、
「こちら側をみてください」
「◯◯さんの脳の障害された部分は左側に注意が向きにくい傾向があります」
「他の生活場面で左側を忘れることはありますか」
「左側に意識が向きにくいので気をつけてくださいね」
「左側に注意が向きにくいことを頭に入れておいてくださいね」
できている場合→「左側に注意が向いてきましたね」
などと、対象者の気づきを促せるように声かけを行っていく必要があります。