最近の研究では、リハビリテーションにおいてイメージの利用が治療効果を上げるかもしれないということが言われています。ここで、イメージと言っても、運動イメージと視覚イメージという考え方があるのをご存知でしょうか。今回、運動イメージと視覚イメージの違いについてまとめていきたいと思います。
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目次
とある担当患者さんと運動イメージ
私が担当していた患者さんで、入院中に自分の腕が動いているイメージを毎日のように思い浮かべている方がいました。
その方は、最終的に運動麻痺が改善され、日常生活上でも麻痺側上肢を使用できるほどに回復されていました。
もちろん、運動イメージだけでなく、運動療法も行われていた方ですが、私はこのとき、運動イメージの大切さを患者さんから教えられたことがあります。
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視覚イメージと運動イメージ
運動イメージと視覚イメージの違いはどのような点にあるのでしょうか。
まず、視覚イメージについて考えていきます。
頭の中で動物や食べ物、道具などを思い浮かべてみてください。
これが「視覚イメージ」です。
視覚イメージは、心的イメージとも呼ばれています。
また、視覚イメージは、ワーキングメモリとして、長期記憶の中から情報を引き出しているとの考え方があるようです。
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次に、運動イメージについてです。
運動イメージは、例えば椅子に座っていいて、机の上に置いてある目の前のコップを手にとる動きを頭の中で思い浮かべてください。
このとき、運動に伴う筋肉や皮膚の変化を感じることが「運動イメージ」です。
私たちは、これまでの経験からこれから行う目的的な運動を予測して、その準備を行っています。
他人からコップを渡されてつかむ場合に、水がいっぱい入ったコップをつかむ場合と、空のコップでは把持に用いる筋収縮の程度は異なるが、これはあらかじめ経験を通じて記憶している筋収縮のイメージから予測して把握を行う準備をしている。
それゆえ、予測がつかない、すなわちイメージができないと動作が行えない場合がある。
宮口 英樹 他「運動イメージの臨床応用」作業療法ジャーナル Vol.45 No7 2011
パーキンソン病の方などにおいても、動作のイメージを用いることで動作がスムーズになることを経験しますが、運動イメージは日常生活を送る上でも役立っていることが伺えます。
この運動イメージにおいても、ワーキングメモリとの関連が考えられています。
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運動イメージの分類
運動イメージは、自分が行っているイメージと、他者が行っているイメージにより分類されます。
自分が運動を行っているイメージを「一人称的」な運動イメージと言います。
また、他者が運動を行っているイメージを「三人称的」な運動イメージと言います。
このあたりは、専門書を読んでいると出てくる単語なので、概念を理解しておくと理解度が深まりやすくなります。
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視覚イメージと運動イメージの脳活動部位
視覚イメージと運動イメージを比べると、活性化する脳の部位が異なることが知られています。
視覚イメージの際に活性化する脳領域は、後頭葉から側頭葉への視覚情報経路周辺を中心に多岐にわたる。
リハビリテーションのための神経生物学入門
運動イメージでは、運動に関する脳部位が活性化されます。
また、それは前途した視覚イメージと運動イメージにより活動部位に若干の違いがあるともされています。
よく言われているのは、運動イメージには運動前野や補足運動野の関わりがあるということです。
補足運動野は随意運動のプログラミングにおいて重要な役割を果たしており、運動イメージという随意運動の準備段階においても活動することがわかった。
梁 楠 「運動イメージのリハビリテーションへの応用」作業療法ジャーナル Vol.45 No7 2011
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ミラーセラピーも運動イメージを想起するのに役に立つ?
ミラーセラピーも、運動イメージを想起するのに役立つ可能性があることが言われています。
ミラーセラピーと運動麻痺改善のメカニズムとして、ミラーニューロンシステム(模倣を行う神経メカニズム)が関与している可能性があるとされています。
ミラーニューロンと呼ばれる腹側運動前野の神経細胞は自分で作業しているときのみならず、他者が同じ作業をしているのを見ているだけでも活動する。
他者の運動を観察してミラーニューロンが運動プログラムを作り出すことが模倣動作の発現につながっていると考えられている。岡崎 英人ら「上肢麻痺の改善手技-ミラーセラピーを中心に」CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.35 no.5 2017.5
非麻痺側の動きを鏡を見て、麻痺側が動いているように見えることで、麻痺側の運動イメージを作り出しやすくなることも考えられているようです。
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運動イメージとニューロリハビリテーション
脳卒中者にの運動機能の回復に、運動イメージの利用が研究されています。
運動をイメージすることで、4p野の活動が高まる場合、機能回復が起こりやすいとされています。
一次運動野(4野)は運動の実行に関与する脳の部位で、一次運動野は、4a野と4p野に分けられています。
4a野:皮質脊髄路に関与し、脊髄運動ニューロンを興奮させる。
近位筋が支配を受ける。
主に固有感覚入力を受ける。
4p野:複雑な(高度な)運動に関与する。
遠位筋が支配を受ける(手指の神経細胞が豊富)。
主に皮膚感覚入力を受ける。
そのため、運動機能の回復には、運動イメージや運動観察によるシミレーション(脳内で運動を予測する)が必要になることが考えられます。
運動イメージでは、目的的な活動がイメージしやすくなります(例:コップに入っているコーヒーを飲むなど)。
また、複数の条件を出すことでもイメージがしやすくなります(例:マイクを持つ手の位置など)。
運動イメージを想起するには、運動の速度が速すぎてもイメージしにくいとされています。
体性感覚障害が強いと、イメージしようとしてもイメージしにくいことがあります。
イメージを重ねていくことで、体性感覚を補っていくことも必要になるかもしれません。
運動イメージをさせる際に、その意味や機能回復への関係性を説明していないと、動機付けが乏しくなり、しっかりとイメージしてくれなくなるかもしれません。
オリエンテーションをしっかりと行うことが重要です。
運動イメージをリハビリテーションに応用するときの最大の注意点としては、対象者が行ったことがない動作では運動イメージが思い浮かばないということだと思います。
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転職サイト利用のメリット
何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。転職活動をする上で、大変なこととして、、、
仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる
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そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。
転職サイト利用のデメリット
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それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。
そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。
転職サイトは複数登録することも必要
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